いつもにこにこ笑ってるけど、本当は何思ってるかなんてわかんないんだよ?
キミたちみんな、僕のことなんてわかってないんだから。
「ううん、いいよ僕は。だから行ってらっしゃい」
そんなことを言いながらね、本当は。
たくさん遊びたいなぁ、とか。
もっと空飛ぶことできたらなぁ、とか。
この病気が治ればいいのになぁ、とか。
叶いもしないような願望を頭に描いているんだ。
「だってほら、僕って大人だからね」
笑って茶化すようにして言うけれども。
“大人”なんて所詮言い訳。
大人と子供の境目にいる僕は、まだまだ子供でいたいお年頃。
みんなは簡単にスルーするけれどね、あぁもう本当にわかってない。
今すぐにでも帽子を取って刀を抜きたいくらいイライラしてるってこと、わかんない?
あ、やっぱりわからなくていいや。
わかられたら、それはそれで僕が困るからね。
いつもボーっとしてたり、にこにこしてたりするけれどね。
本当は全然内心穏やかじゃないんだ。
だけど、それでもみんなと一緒にいたいから。
ここで本音を出したら、きっとみんな離れて行ってしまうから。
え?そんなことないって?
あぁ、そう、知らないの?
“そんなことない”ことは“ありえない”んだよ?
誰だってそうでしょう?
そんないいひとなんて、いるとしたら僕のマスターくらいだよ。
「そう、だってほら、僕って控え目だから」
言い聞かせて自分をだまして隠し通して。
僕って悪タイプを地で行ってると思わない?
…まぁ、そんなことばっかり言ってるけど、本当は、僕はどれだけ自分を犠牲にしたって構わないんだ。
僕が幸せであるよりも、他にいる、僕の大好きなみんなが幸せだったらそれでいい。
みんなが楽しそうにしてるところを見ると、ほらね、はらわた煮え繰り返ってるのだってあっという間におさまるんだ。
楽しいのが僕にもうつるんだ。
たしかに、いつかはみんな離れていくんだろうけど。
それでも、僕は大好きなひとたちの幸せを邪魔したくない。
それは、きっと僕に返ってくることはないんだろうけど。
でもいいんだ。
僕はいつ死ぬかもわからないし、死ぬっていうのがそう遠い未来の話じゃないことくらいわかってるから。
あ、そんなこと言ったら怒りだす人たちが何人かいるなぁ。
じゃあ撤回する?
ううん、しないよ。
だってほら、死神は僕のすぐそばで、僕の首に鎌を当てて構えてるから。
だけどずいぶん気が長い死神みたいでね、ずっと待っててくれてる。
あと少し。ほんの少しだけでいいんだ。
もう少しだけ、今の幸せを、僕にも分けて?
ヤタさんはこんな子です。
あんなに元気してるけど(笑)、実際もうほとんど寿命残ってないんじゃないかな。元気になるとは思うけどね。
自分の幸せよりも、みんなの幸せを願う控えめさん。
みんなの幸せのために今日も辛抱するのです。
……あたしは絶対こんなこと耐えられない。
やっぱりヤタさんは大人だな。大人だよ。ほんと。
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