ある日のキッサキシティ。
月の光にダイヤモンドダストが照らされて、とても幻想的な夜に。
奥にひっそりとたたずむ一軒家の中で、「彼ら」はテレビにくぎ付けになっていた。
「えーっ!?ここで死んじゃうのー!?」
「おれががんだむだぁーっ!!」
真っ暗な部屋の中で、テレビの音と明かりだけが騒がしい。
「彼ら」は、次の「日5」の番組に備えて一期を見返していた。
いつもいつも夕飯前にみんなで全話見ていたのだが、二期に入る前にもう一度見返すことでおさらいしようと思っているらしい。
テレビの前にくぎ付けになって、ドキドキしながら見ている光景は滑稽なものである。
「抱きしめたいなぁ!がんだむ!!」
「こら!暗闇に乗じて何してんのトワちゃん!」
「狙い撃つぜ!」
「ちょ、エミュんストップストップぅー!!」
もはや「ご無礼!」といった状態である。
そんな中。
「すぅー……」
すやすやと寝息を立てるのが一名。
その寝息を聞いて残りの5人が振り返る。
「……もしかして、マヤやん寝てる?」
「夜遅いもの、寝ていたっていいじゃない」
「だぁーめぇー!!!!お・き・てぇーっ!!!!」
耳元で叫ぶ。
が、起きる気配がない。
「そこは寝かせてあげようよ…」
兄が妹に諭す。
「ダメ!だって次!あの名言が出るんだよ!!」
「……はっ!それは確かに起こさないといけないな…起きてよー」
兄は即妹に丸め込まれた。
二人で起こし続ける。
「ん……」
やっとのことで彼女がぱちり、目を覚ました瞬間。
『――この気持ち、まさしく愛だっ!!!!』
『愛…!?』
上手いタイミングでテレビから音声が流れた。
それを見て、兄妹はガッツポーズをする。
「……ほぁ…」
対して彼女は、完全に寝ぼけている。
「さぁテンちゃん!今よ!」
「わかった」
テンコはにっこりと笑って、自分の右目を手で隠し、ぱ、と上げる。
普段閉じられているその眼は、綺麗な橙色をしていた。
「――テンコが命じる、ハム語録を明日、彼氏に言いなさい」
「…いえす、ゆあ・まじぇすてぃ……すぅ…」
マヤはさながらギ○スを使われたかのような反応をした。そして何事もなかったかのように眠り始める。
それを見て一同は感嘆の声を上げた。
「すっごーいテンちゃん!」
「これって本物!?本物!?」
「あんまり使いたくはないから、こうして普段は目を見せないようにしてるんだけどね。これ使ったのは…何十年振りだろうねぇ」
「ほらほら、二期の予告が入るわよ」
「えっ!見なきゃ見なきゃ!」
「……皇帝の守った平和は一週間で壊されてしまうのね…」
「姐さん贔屓しすぎだよーっ」
夜中でもわいわいがやがや、仲良しなのが彼らの普通。
例え誰がどんな傷を内に秘めていても、それは関係ない。
それに触れてはいけないことを皆知っているし、一緒にいることで傷は癒えるから。
「……仲間には、かけたくなかったんだけどね」
後ろでぽつり、呟いて。
「みんな、こっち向いて?」
寝ている約一名をのぞき、全員が振り返ると。
ふわりとした橙がかった金髪の巻き毛の少年は両目を開き、
「――僕のこと、忘れて?」
にこり、微笑んで立ち去った。
まさかのテンちゃんオチです。
テンちゃん家出の巻。
この話もいつか書きたいな。
それにしてもあんなギャグの裏にはこんなことが起きてたんですね。
マヤやんだけは記憶を消去させられてませんね。
まぁ、簡単にいえばあれです。
マヤやんが「みんな、思いだして!」みたいな感じで言って、いろいろあって全員の記憶が戻ってテンちゃんを迎えに行くんだろうな、と思います。
余談ですがコイコ姐さんは第99代皇帝が大好きなんだと思います。笑。
ちなみにテンちゃんはC.C.、エミュんは兄さん、トワちゃんは万死ツンデレ、ワーちんはおれががんだむ、マヤやんはハムが好き。
年長二人はギ○スが好きなのです。
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