天才だなんだとちやほやされていても、
どんなにいい待遇を受けていても、
たとえどんなに、愛されていても、
たった一度の失敗で、全部崩れ去ってしまう。
失敗をするのが怖くて、
負けてしまうのが怖くて、
その程度なのかと見做されてしまうのが怖くて、
全てを失ってしまうのが怖くて。
そうなってしまう前に逃げてしまおう。
力を見せる前に去ってしまえば問題ない。
それは負けではない、まだ勝負を仕掛けていないから勝ち負けはついていない、と言い聞かせて。
馬鹿なことだとは承知の上。
矛盾であるということも承知の上。
ただ、いつも側にいるひとが離れてしまうのが怖いだけ。
賞賛してくれたり、自分の力を認めてくれたりしてくれるひとがいたとして、そのひとが落胆して去ってしまうのが怖いだけ。
だから、少しでも落胆を小さくして、離れていかないように繋ぎとめる。
褒められるのは嬉しいけれど、素直に喜べない。
落胆されたときが怖いから。
落胆された瞬間に、見放されてしまうのが怖い。
私はもっと一緒にいたいのに。
落ちこぼれ?臆病者?何とでも言えばいい。
こういう奴だと割り切ってくれればそれでいい。
だけどそれは嫌。私だって本気を出せばできるもの。
あぁ、これはなんという矛盾なの?
一度の失敗で、一番すきなひとがいなくなってしまうのが怖い。
もう二度と会えない気がするから。
今まで一緒にいたけどもうダメだ、こいつにはうんざりしたって、思われるのが怖い。
口先だけでもいいから、私を喜ばせて?
その一瞬でいいから安心したいの。
口先だけの愛は偽物?
私はその一瞬が幸せだからそれでいいの。
後の裏切りが怖い?
怖いけれど、その間は怖くない。
あぁ、これもなんて矛盾?
過去の枷が、私の足を引っ張っている。
決してはずすことのできない枷。
外せるかもしれないけれど、外さない枷。
ほら、また矛盾。
矛盾ばかりで、何を考えているのか私も知らない。
だけど、今言えることはひとつ。
見放されなければいいな、それだけ。
特に誰というわけではないけど、なんとなくぽっと思い立ったので。
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