小さな小さな喫茶店。
今日も、カラン、とかねがなる。
「あー……あいつのうっかりっぷり、ほんまにどーにかならへんのー?あ、ティアラ、青山、いつもの」
「はい、わかりました」
ティアラが返事をすると、青山は黙々とコーヒーを淹れ始めた。
ふわり香る、苦い香り。
「このままじゃいくら命があっても足りひんわー。そもそも何で俺なん?ほんまに、何で俺なん?」
「それはモカさん御本人に聞けばいいじゃないですか」
「何で俺と逆方向に撃った気合玉が180度方向転換して俺の方に向かうん?どう考えてもおかしいやろー…」
ずい、とコーヒーが出されて、コロンビアはカップを両手で持ったまま、飲もうともせずに話し続ける。
「これでもあいつに聞いたんよ?そしたら『んー…気合が足りないのかもしれません』って!関係ないやろー!!!!ほんま俺、突っ込みたくなったわー」
「ふふ、それじゃあコロンビアさんはモカさんのことをどう思っていらっしゃるんですか?」
「俺!?俺は……んー……正直怖いなぁ」
少し冷めたコーヒーに口をつけると、どこからかがたん、と物音がした。
あら、とティアラは音の方向を見るが、コロンビアはそれを気にも留めずに話を続ける。
「せやけど、気合玉さえ打ってこなきゃフッツーの女の子やし…んー、わからん!」
またがたんという音がし、ティアラはくすくすと笑いながらコーヒー豆を挽いている。
コロンビアは今度は、最初から正体に気付いてましたと言わんばかりに笑みを浮かべて、
「けど、嫌いやないのは確かやな」
またカップに口をつけ、一気に飲み干した。
「ほな、俺はこの辺で。ごちそーさん。金はブルボンにつけといてやー」
「利子10倍なら払ってもええよ、コロンビア?」
ちょうど外から帰ってきたブルボンに言われ、コロンビアは一瞬にして固まる。
それを見て、ブルボンについてきたジャワが面白がる。
「あ、前言撤回や。やっぱ次につけといてやー」
「はい」
からん、音が鳴り、喫茶店内には再び静けさが戻った。
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