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ノマから薔薇百合えろぐろ何でもありですよ。 見るなら自己責任。あ、でも薔薇はなさそうです。
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黒い帽子の仲人と赤いマフラーの少女の出会い話。

防犯ブザーなったよ…どうやら誤報みたいだけど。
しかもうちの階かよ;
ブザーはいつ鳴っても焦るよね。

あ、文中の「今」はDP現在のことでお願いします。
DP中心に考えると、Ptは1年後設定なんです。うん。

今から遡ること2年前。
エイチ湖のほとりに住処を持つマニューラ一族のところに、はるばるハクタイの森から客人がやってきた。
客人というには人が多く、どちらかといえば一行、と称した方が適しているような大所帯でやってきた。

「申し訳ございません、このようなところまではるばるお越しいただいて……」
「気にしなくて大丈夫ですよー、私たちは自由に飛び回ることができますから」

一族の代表と思しき人物が丁重に挨拶をするのに対し、客人の代表と思しき人物は砕けた言葉で返す。

「つまらないものですが受け取ってくださいませ」
「わぁ、このお菓子大好きなんですよーありがとうございます」

貫禄のある低い声に似合わぬ発言をしながら、にこにこと客人の代表は菓子折りを受け取った。
その様子を少し複雑な表情で一族の代表は見ていた。
そして、一族の大人たちが客人たちをもてなしているところを、赤いマフラーを巻いたニューラの少女がちらり、とふすまの隙間から覗いていた。

「…さて、今日私たちがここまで来たのは――」
「新しい当主がお決まりになられたのですね?」
「すごいねー、正解ですよ!あなたたちエスパーですか?あ、違いますね悪タイプですものね」

はははは、とひと笑いし、こほん、と咳払いをする。

「――ヤタ、前へ」
「はい、父上…けほっ」

客人の代表が声をかけると、一人の少年がすっと前に出て座った。

「(わぁ…綺麗なひと)」

ふすまの隙間から覗いていた赤いマフラーの少女は、少年の姿を見て純粋にそう思った。
黒い帽子を手に持ち、黒いタートルネックのセーターを着ている金髪の少年の姿は、さながら女のよう。
それは隣にいる彼の父親と思しき人物が、とてもがたいがいいためだろうか。

「体調は悪くはないか?」
「平気です、お気になさらず……このたび、当主になります…ヤタと申します。どうぞ…よろしく、お願いいたします」

マニューラ一族の代表は目を見開き、驚いた様子で彼を見る。

「……失礼ですが、彼のような病弱そうな者が当主、なのですか?」
「確かに病弱ではあるが、実力は私以上ですよ」
「それ以前に、進化もしていない者が「私が決めたのだ、異論は認めない」

客人がひと睨みすると、一族の代表は黙るよりほかなかった。

「……失礼いたしました」
「僕が病弱なのは…事実、ですし…けほっ…。それに、正式に当主になるのは来年から…ごほごほっ」

ヤタがせき込むと、口元を抑えた手からぽたぽたと血が零れ落ちた。

「!…大丈夫ですか?」
「いつもの、ことなので…大丈夫です……すみません…洗面所は……」

ヤタがそう言うと、一族の代表はふすまの方を見やって、

「マヤ、そこにいるのはわかってるから、ヤタ様を案内して差し上げなさい」

さ、とふすまを開けた。
赤いマフラーの少女はカチン、と硬直して突っ立っている。

「……は、はい、お母様。……大丈夫、ですか?こ、こっちです」
「…ありがとう」

二人はぱたぱたと広い廊下を歩いて行った。


「大丈夫、ですか…?苦しくないですか……?」
「ありがと…大丈夫だよ…ごほごほっ……」

洗面所で水を流しながら、ヤタは咳き込む。
滴った血が、水とともに流れていく。
赤いマフラーの少女はどうしていいかわからず、とりあえずヤタの背中をさすっていた。

「…あの、綺麗なひとは……きみのお母さんだったんだね」
「…はい」
「じゃあ……きみが大きくなったら…いずれは一族をまとめるのかな」
「……はい、たぶん」
「…この周辺は格闘タイプの縄張りもあって大変だと思うけれど……がんばってね」
「……」

会話が途切れ、聞こえるのはヤタの苦しそうな呼吸の音と、水が流れる音のみ。
それでもだいぶおさまったのか、咳きこむことはなくなった。
ヤタは血で汚れた口元を水で洗い、口をゆすいで、持っていた自分のハンカチで口をふく。
そして、赤いマフラーの少女の方を振り返る。

「…そうだ…僕は…ヤタっていうんだけど…きみの……名前を教えて?」
「……マヤ、です」

赤いマフラーの少女が自分の名前を答えると、ヤタは嬉しそうににこりと微笑んだ。

「…そっか、マヤちゃんね……よろしくね」
「…はい」

ヤタの笑顔を見て、こわばった表情をしていたマヤにも自然と笑顔がこぼれた。


結局その晩、一行は泊まることとなった。
とはいえ、たくさんのお供の大半を帰らせ、4、5人程度が残って泊まることとなった。


翌日。
家じゅうで騒ぎになっている音で客人一行は目が覚めた。

「おはようございます、何かあったのですか?」
「申し訳ございません朝からうるさくしてしまって…ですが、ご心配なさらず」
「さては、昨日のあの可愛いお嬢さんが攫われた、とかですかね?」
「……!」

一行の代表――ヤタの父が言うと、一族の代表――マヤの母は少し顔をこわばらせた。
そんなマヤの母を見て、ヤタの父は優しく声をかけた。

「一族を統べるものとは言え、ひとりの親ですから…私も気持ちはわかります」
「……これは私たちの問題ですので、どうかお気になさらず」
「いいえ、ですからここは…私たちに任せてはおけませんかね?」
「……首領」
「まぁ、今止めても無駄ですよ」

ヤタの父は吹雪の外を見る。

「――もう既に、あの子が向かっているでしょうから」


その頃。

「さて、娘を連れてきたわけだがどうしようか」
「ここで殺せばやつらへの見せしめにでもなるでしょうかねぇ?」
「売り飛ばして金にするのも悪くはない」

吹雪の中、ぐるぐると縄で木に括られたマヤと、それを囲むように立っている3人の男。
マヤは恐怖のあまり声も出せずにいる。

「恨むなら俺たちじゃなくてお前の両親を恨めよ?俺たちの縄張りで好き勝手やってるのが悪いんだからな」

3人の男のうち一人が、マヤに近づいて言い放った。

「……」

マヤは相変わらず恐怖で声が出せないまま、がたがたと体を震わせている。

「こいつらをつぶせば全部の勢力は俺たちの支配下になるな」
「そうっすね!ついに俺たちの野望が――」

「“誰の”支配下になるって?」

3人の会話に割って入りこむ、一人の声。
3人が声の方角へ振り向く。

「うちの組の者に手ぇ出したら――許さねぇ」
「!?何だてめっ……」

殴りかかってきた男を軽くあしらい、金色の髪の少年は吹雪の中、歩みを進める。

「うちのシマに勝手に入ってくるんじゃねぇよ!」
「それはこっちのセリフだ」

キン…と刀を納める音だけがして、男は崩れ落ちる。
少年はあっという間にマヤのそばにやってきた。
目に見えない動作、貫禄のある台詞。
本当に、前日に見たあの病弱そうな彼と同一人物なのだろうかと、マヤは目を疑った。

「うちの組を敵に回したらどうなるか……身をもって知れこの腐れ外道が」

ごっ、と鈍い音がして、最後の一人は倒れた。

「もう大丈夫だよ、マヤちゃん。けほ…」

キン、と、また刀を納める音だけがする。
その瞬間にマヤを縛り付けていた縄がはらりと雪の上に落ちた。

「大丈夫?こほこほ…けがはない?」
「…はい」
「それじゃあ帰ろっか」

二人は吹雪の中歩き始めた。


「――と、いうわけだったんだけど…父上、これでよかったの?」
「あぁもうヤタ、本当に成長したんだなー父さんは感激だよ!」
「まったくもう…心配したんだからね、マヤ」
「お母様…?」

そんな会話が交わされる、広い広い一室。

「本当にありがとうございました。これからはこのようなことがないように致しますゆえ」
「娘さんが無事で本当によかったですよ。けど…危ないねぇ、あの一派は。私たちも情報を集めるけれど、気をつけてくださいね」
「はい、本当に何から何まで…ありがとうございます」
「気にしなくて大丈夫ですよー、そういうの好きなので。それではわれわれはこの辺で失礼させていただきますね」

黒いコートを翻し、ヤタの父は、ヤタとお供を連れて帰路につこうとする。
ヤタは軽く咳きこんで、父たちについていこうとした。

すると、くい、と裾を引っ張られる感覚。

「?」

振り返ると、じっ、と下から目線でみてくるマヤの姿。

「どう、したの?」
「……あの」

マヤは少しうつむいて、それからまた少し顔を上げた。

「…助けてくれて、ありがとうございました」
「?」

マヤの発言にヤタはよくわからないといった表情でマヤを見つめた。
そして、

「友達が困ってたら助けてあげるのは当然じゃない?」

とだけ言って、周囲に軽く会釈をして、小走りをして前を行く父親やお供のところに走りだしていった。


「……おともだち?」

きょとん、として、マヤはその後ろ姿を見つめていた――。









最後の文章の適当具合は仕様。
だって疲れたんだもん。滑り台ではしゃぎすぎた。
と、いうわけでマヤやんとヤタさんの出会い話。
それから1年くらいして、この一族の本家はマヤやんを残して壊滅させられてしまいます。
もともと苦手タイプは嫌いで、たぶん今回の一件でマヤやんは男嫌いになったんだろうな……。
それで本家壊滅で「たたかないで…!」になるんだと。
で、まぁいろいろあって今に至る、みたいな。
マヤやんも実はすごい子だったんだね!お姉さんびっくりだよ。
ちなみにヤタさんはこの時戦闘時だけ狂気モードになってます。

あぁ眠い。寝る。
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