どんなに欲しても手に入れられないことくらい、ぼくにだってわかっている。
たまに、自分が何なのかわからなくなる。
いつもは恋愛優等生を演じているけれど、本当はそんなんじゃなくて。
みんなに感心されたりするけれど、そんなんじゃないんだ。
一度も自分の恋が実ったことはないから。
そりゃね、そうだよね。
わかってるよ、そんなこと。
いたって当然のこと。
女よりも男がいいっていう、それだけの話。
別に同性愛とか、そういうわけじゃないんだ。
もちろん恋の相手は女の子だしね。
だけどね、女の子はみんな、ぼくを「ぼく」としてみてくれなかった。
だから男に走るのかって?それは否定できない話。
男としてみてくれないなら、女の子になりきればいいじゃない。
そう思っていろいろと試したけれども。
やっぱりだれも、ぼくを「ぼく」としてみてくれなかった。
女っぽい顔してるとか、前からちょっぴり気にはしていたけど、ね。
それを武器にするのもなかなか楽しいとは思ったけれど。
所詮はぼくの一人遊び。寂しいままごとと変わらない。
ぼくは「ぼく」でいいんだよね。
それ以外の何者でもないんだよね。
たまに、自分の存在がとても不安定になる。
ぼくが「ぼく」であることを否定してしまったら、誰が「ぼく」をみてくれる?
誰か、「ぼく」をみて。
お願いだから、ここにいるから。
もうなにもいらないや。
誰か、お願いだから――助けて?
PR