ぼんやりと満月を見ていると、落ち着くというもので。
「……」
満月を映した朱色の目が、
ぱちりと瞬いて、
閉じて、
閉じたままであった。
目を閉じたまま、少年は思う。
(僕は、何をしていたんだろう)
(何を、してるんだっけ…)
(あぁ、そういえば、)
自爆をもろに食らった全身が痛い。
然るべきところで治療は受けたけれども、体は悲鳴を上げそうなほどに痛い。少しでも動くとみしみしと音がしそうである。
それほどに辛いものだったかと思い返すが、そんなことはなかったはずだ、と思い直して、
(急所に当たったんだ…そうとしか考えられない)
慎重に慎重に、自爆には用心していたはずなのに。
(ジャクソンに誘われてあんな競技出るんじゃなかった。僕のせいじゃない、あいつのせいだ)
すべての責任を転嫁することにした。
(…月の、光)
(やっぱり、落ち着くな…)
「……そろそろ、帰ろう」
今日はどの道を通ろうか。
この間通った道は開けていたけれど、かなりの遠回りだった。
来た道が安全とは限らない。
だから帰り道も慎重に考える。
マイペースな双子の片割れなら、きっとそのまま帰るのだろうけれど。
(トワと同じ思考は嫌だな。あっちに行ったらどうだろうか)
今日は小道を行くことにした。
セツナは大爆発も耐えるけれども、結構ギリギリだったりする。
ただそれだけのはなし。